自由な領域 01




?「おはよう」

が玄関の扉を開けると1人の少女が待っていた。
彼女の名前は の親友の1人だ。
ちなみにが待っていて、玄関を開けたのは である。

「おはようッ。今日はやけにテンション高いじゃん」
「当たり前だよ。だって今日でまた長期の間あの学校に行かなくてすむんだから」
「あぁー、だね。」

の喋り方はいつも淡々と話しているようなもので声からでは感情を読みにくい。
なので、他者からでは声で機嫌の良さなどを知ることはできない。
しかし長い付き合いのには声からでも機嫌に気付くことができた。
そしてもう1人、同じくの様子に気付くことができる人物がいる。

「それにしても、毎度のことだけどあいつは遅いッ!!!」
「気にしちゃダメだよ。いつものことなんだし。それに・・・・・あっちから猛ダッシュして来てる。
「へ?」

そう言われ神流が見ている方向をが振り返って見ると。
1人の少女がもの凄い勢いで突っ込んできた。

?「おっはようっ♪」
「危なッ!?」
「コレもいつもの事だから仕方ないよ。でも今日のはかなり危険だったよ。

二人に突っ込んできた少女は
彼女も親友の1人だ。
そして、の機嫌に気付くことができるもう1人である。

「そりゃぁー、今日で学校終わりやからなぁー。ってかも今日は機嫌ええなぁ」
「僕もと同じ理由」
「なるほどー」
「んじゃ、全員揃ったし、行くか」
「うん」
「はーい」

こうして3人は学校へと向かった。



ガラガラガラ ピシャン
「おはようー」「おーはよ」
次々に3人の前を歩く生徒たちが教室へと消えていく。
ガラガラガラ
3人も教室へと足を踏み入れた。
クラスメートに声をかけることもなく無言で。
一方クラスメート達は入ってきた者を確認すると目をそらすように
喋りだし、2度寝をし、書き出したりと動きだした。
コレが日常。



たちは半年くらい前にある事件を起こした。
実際には巻き込まれたと言ってもいいものかもしれない。
3人はいつものように学校での授業を終わらせ、下校していた。

「んー?何か前方に怪しげな兄ちゃんたちおるなぁー」
「ホントだ」
「あーいうのは、構わない方がいいね」

たちが向かっている方向にたまっている、ヤクザのような男たちを見つけ各自にそう言った。
そして、3人は関わらないように通り過ぎようとした。
だが、

ゴスッ!!

!!」
「!!」

何もしていないのに、奴等は突然を殴り飛ばした。

「お前らァァ!!!」
「悪ぃな、姉ちゃん。でも、俺ら今、かなり虫の居所が悪いんだよね」
「謝る気もないくせに、よく謝罪の言葉を言える」
「なんだとォ?」

の一言で、更に怒りが増したのか。それともを殴ったことで快感を覚えたのか。
男たちは一斉に攻撃をする態勢をとった。

「ったく。何でうちが殴られなきゃあかんの?」
「「!!」」

はさっきの一発で口の中が切れたのか、口元の血をふき取りながらそう言った。
そして、3人はため息をつくと

「僕らのルール。ここで通さないとね」
「仲間への傷はあたしらへの宣戦布告。を殴ったこと後悔させてあげるよ?」
「やられたらやり返す。意味もなく殴られたんや。ソレくらいの権利はあるやろ?」

攻撃態勢へと入った。

「「「行くぞッ!!!!」」」


ヤクザとの接触から10分後。
その場所には、傷だらけで倒れているヤクザたちの姿があった。
そして、その場を去る。3人の人影も。
この事件はすぐに広まった。
あの3人と関わると何が起きるかわからない。アイツらは疫病神だ。近づいてはいけない。
そんな噂と共に。
さまざまな情報が巡りだして、一週間後。
今まで3人に親しかった、生徒・先生は誰1人として目を合わせなくなった。
そして、半年がたった今もこの状況は続いている。
そのためか、3人にとってこの学校は、居心地の良い場所ではなくなってしまった。



「・・・小南、、瀬田。來瀬、、空乃。小蛇火、、佐々埜・・・」

先生は次々と生徒の名を呼び、今年1年の成績表を配布する。
先生の声はいつもより軽かった。
特にたち3人の時は。
それもそうだ。今日は終業式。
生徒たちに、この3人に今日でまた会わなくて済むのだから、先生だって気が楽になったのであろう。

「今日で、2学年も終わりだ。新学期からも気を改めるようにしろよ。それでは解散。」


3人は、いつものように揃って帰宅路を歩き始めた。

すると

「なぁ、2学年も終わったことやし、学校止めへん?」
「「はぁ?」」

突然、真顔では言いだした。

「突然どしたー??」
「だって、うちらが学校に行くことで、うちらも周りの人もかなり嫌な気持ちになってるやん」
「たしかに、そうだね」

は、真剣だけど悲しそうな顔でそう言った。

「なるほどねー。あたしはソレいいと思うけど」
「僕も」
「せやろ?」

3人は、冗談ではなく本気のようだ。
各自、言い終えると同時に顔を見合わせた。
心からの笑顔ではない。作り笑顔で。

「んじゃー。まずあたしの家に行きますか」
「何でー?」
の家に、僕らの母軍団が揃ってるから」
「正解☆」

ということで、3人は家へと向かった。





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